Claude マニュアル

Memory — Claude があなたを覚えてくれる

人間の同僚と長く一緒に働くと、相手はあなたの仕事のスタイルや好みを自然に把握してくれます。Claude の Memory(メモリー)機能は、これと同じようなことを AI との会話でも実現します。

Memory を使うと、Claude があなたの名前、職業、回答スタイルの好み、進行中のプロジェクト情報などを記憶してくれます。次の会話からは「毎回同じ前提を説明する手間」がなくなり、すぐに本題に入れるようになります。

2026年3月から、Memory 機能は Free プランを含む全プランで利用できるようになりました。

Memory とは

Memory は、Claude があなたに関する情報を会話をまたいで保持する機能です。

通常の AI チャットでは、会話を始めるたびに Claude はあなたのことを何も知らない状態からスタートします。毎回「私は○○会社のマーケティング担当で、日本語で箇条書きの回答を好みます」と説明し直すのは手間がかかります。

Memory を有効にすると、Claude は会話の内容を分析して重要な情報を自動的に要約・記録します。次回の会話では、その記録を参照しながら回答してくれます。

Memory の仕組み

Memory は 24 時間ごとに更新されます。Claude が過去の会話から「仕事に関連する重要な情報」を抽出して要約し、保存します。この仕組みを「Memory Synthesis(メモリーシンセシス)」と呼びます。

要約された情報は、新しい会話を始めるたびに自動的に Claude に読み込まれます。

補足: Memory は「全会話をそのまま保存して検索する」RAG(検索拡張生成)ではなく、「重要な情報を要約して記録する」抽出型の仕組みです。過去の会話を丸ごと参照したい場合は、後述の Chat Search(有料プラン限定)を使います。

Memory に覚えてもらえること

Claude が記憶できる情報はさまざまです。仕事の効率化に役立つ具体的な例を紹介します。

あなた自身の情報

  • 名前・役職: 「私は田中花子です、人事部の採用担当をしています」
  • 業種・会社: 「IT スタートアップで働いています、従業員は 50 人ほどです」
  • スキルレベル: 「Excel は初心者レベルです、プログラミングの経験はありません」
  • 使用言語: 「回答は常に日本語でお願いします」

回答スタイルの好み

  • フォーマット: 「回答はいつも箇条書きにしてください」
  • 長さ: 「要点を 3 つ以内にまとめて」
  • 文体: 「丁寧語より普通の話し言葉で話してほしい」
  • 専門用語: 「IT 用語は使わず、わかりやすい言葉で説明してください」

進行中のプロジェクト情報

  • 「現在、新商品のマーケティング戦略を立案中です」
  • 「来月に向けて採用面接の準備をしています」
  • 「社内の DX 推進プロジェクトのリーダーをしています」

よく使うフォーマット・テンプレート

  • 「議事録は『決定事項・アクションアイテム・次回予定』の順でまとめてください」
  • 「メールの件名は常に『【要確認】』から始めてください」

つまづきポイント: Memory は「仕事に関連する情報」を優先的に記憶します。趣味や日常的な雑談は記録されにくいことがあります。確実に覚えてほしい情報は、次のセクションで紹介する「明示的に覚えてもらう方法」を使いましょう。

Memory の使い方

自動記憶(会話の中で自然に覚えていく)

Memory を有効にしていれば、特別な操作は必要ありません。Claude との会話の中で伝えた情報が、24 時間ごとに自動的に整理・保存されます。

例えば、今日の会話で「私は営業担当の山田です」と話したとすると、翌日以降の会話では Claude があなたを「営業担当の山田さん」として扱ってくれます。

明示的に覚えてもらう

「これを確実に覚えてほしい」という情報は、直接 Claude に伝えましょう。

指示の例:

「これを覚えておいてください:私は会議の議事録を書くとき、必ず箇条書き形式を使います」
「次の情報を記憶してください:
- 担当:新規事業開発部
- 現在取り組んでいる案件:海外市場への展開戦略
- 苦手なこと:英語でのコミュニケーション」

Claude は「覚えました」と確認してくれます。

設定画面でメモリを管理する

記憶された内容はいつでも確認・編集・削除できます。

  1. claude.ai にログインします
  2. 画面左下のアカウントアイコンをクリックし、「Settings」(設定)を開きます
  3. 「Capabilities」(機能)のタブを選択します
  4. 「Memory」の項目で「View and edit memory」をクリックします

表示された画面では以下の操作ができます。

  • 内容の確認: 何が記憶されているかテキストで確認できます
  • 編集: 間違いや古い情報を修正できます
  • 一時停止: 「Pause memory」で、既存のメモリは残したまま新しい記憶を止めます
  • 完全削除: 「Reset memory」で、記録されたすべてのメモリを削除します(取り消しはできません)

つまづきポイント: 「Memory を有効にしたのに、Claude が前の会話のことを覚えていない」と感じる場合があります。これは Memory の更新が 24 時間ごとのためです。今日の会話が反映されるのは、翌日以降になります。すぐに覚えてほしい場合は「明示的に覚えてもらう」方法を使ってください。

Chat Search(会話履歴の検索)

Chat Search(チャットサーチ)は、過去の会話を検索して内容を参照できる機能です。Pro・Max・Team・Enterprise など有料プランのみで利用できます。

Memory が「重要な情報を要約して記録する」のに対し、Chat Search は「過去の会話を直接検索して参照する」機能です。

Chat Search の使い方

特別な設定は不要です。有料プランに加入していれば、自然な言葉で聞くだけで過去の会話を検索してくれます。

質問の例:

「先月、Q2 のロードマップについて話し合ったことを教えてください」
「以前に私が相談した採用基準の話をまとめてください」
「過去に作った営業メールのテンプレートを探してください」

Claude が「過去の会話を検索しています...」と表示しながら、関連する会話を見つけて回答に反映します。

Chat Search の活用シーン

  • プロジェクトの引き継ぎ: 「半年前にまとめた課題リストを探して」
  • 再利用: 「以前作ったプレゼンのアウトラインを見つけて」
  • 確認: 「先週 Claude に依頼した文章の原案を見せて」

つまづきポイント: Chat Search は「プロジェクト外のチャット」と「各プロジェクト内の会話(プロジェクトに限定)」を検索対象にします。プロジェクト A の会話は、プロジェクト B からは検索されません。

Chat Search を無効にする

Chat Search を使いたくない場合は、Settings > Capabilities から無効にできます。

Memory Import(他サービスからの移行)

Memory Import(メモリーインポート)は、ChatGPT や Gemini などで蓄積したコンテキストや好みを Claude に移行できる機能です。**全プラン(Free 含む)**で利用できます。

他の AI サービスを使っていた方が Claude に乗り換える際に、一から設定し直す手間を省けます。

Memory Import の手順

ChatGPT からの移行

  1. ChatGPT を開き、プロンプトを使って記憶されている情報を書き出します
    • 例: 「今まで記録されている私の好みや情報をすべて出力してください」
  2. 出力された内容をコピーします
  3. claude.com/import-memory にアクセスします(または Settings > Capabilities > Memory Import)

  1. テキストボックスに ChatGPT からコピーした情報を貼り付けます
  2. 「インポート」をクリックします
  3. 処理が完了するまで最大 24 時間かかります

Gemini・Grok からの移行も同様の手順で行えます。

つまづきポイント: Memory Import は「仕事に関連する情報」を優先的に取り込みます。個人的な情報は完全には移行されない場合があります。また、実験的な機能のため、エラーが発生することもあります。うまくいかない場合は、重要な情報を手動で Claude に伝えましょう。

プライバシーと安全性

Memory 機能を使う上で、プライバシーについて気になる方も多いでしょう。ここでは、記録された情報の管理方法と、プライバシーを守るための方法を説明します。

記録される情報の範囲

Claude が記憶するのは主に「仕事に関連するコンテキスト」です。

  • 職務内容・役職・所属部署
  • 進行中のプロジェクト情報
  • コミュニケーションスタイルの好み
  • 技術的な好み(使用ツールなど)

個人的な雑談や一時的な質問は、通常は記憶されません。

機密情報を Memory に入れないための注意

⚠ 個人情報・機密情報を Memory に記憶させる場合は注意が必要です。

  • 氏名・住所・電話番号など個人を特定できる情報
  • パスワードや認証情報
  • 社外秘の業務情報や顧客データ
  • 財務情報

これらの情報を Memory に入れると、Claude との会話で意図せず参照される可能性があります。機密性の高い情報は Memory に記録しないようにしましょう。

インコグニートチャット(プライベートな会話)

Memory を使わずに会話したい場合は、インコグニートチャット機能を使いましょう。

インコグニートチャットとは、Memory に情報が記録されない会話モードです。ブラウザのシークレットモードとは異なる、Claude 独自の機能です。

使い方:

  1. 新しい会話を開始するとき、チャット入力欄の近くにある「Incognito」オプションを選択します
  2. このモードでの会話は Memory に保存されません

機密性の高い業務内容を扱うとき、または Memory をリセットせずに一時的にプライベートな会話をしたいときに使えます。

Projects ごとの Memory 分離

Memory はプロジェクトごとに分離されています。これは重要なポイントです。

  • 「仕事プロジェクト」で覚えた情報は、「個人プロジェクト」には影響しません
  • プロジェクト間で情報が混在することはありません

ただし、Projects に紐づかない通常の会話での Memory は、Projects 外のすべての会話に共通で適用されます。

効果的な Memory の活用法

Memory 機能を使いこなすことで、日常の業務がより効率的になります。実際の活用パターンを紹介します。

パターン 1: 初回セットアップで一気に覚えてもらう

Memory を有効にしたら、最初に自分のプロフィールをまとめて伝えましょう。

例:

以下の情報を覚えておいてください:

【私について】
- 名前: 山田太郎
- 役職: 営業部マネージャー(IT 企業勤務)
- チームメンバー: 5 名

【コミュニケーションスタイルの希望】
- 回答は箇条書きで、3〜5 点にまとめてほしい
- 専門用語は使わず、平易な言葉で
- 回答は 300 文字以内を目安に

【現在のプロジェクト】
- 来期の新規顧客開拓プランを策定中
- 社内の CRM ツール移行プロジェクトをリード中

このような「プロフィールまとめ」を最初に伝えるだけで、以降の会話から効率が大きく上がります。

パターン 2: プロジェクトごとに Memory を活用する

Projects 機能と組み合わせると、用途ごとに最適化されたアシスタントを作れます。

  • 「採用プロジェクト」: 評価基準・採用ペルソナを記録。面接のたびに説明不要に
  • 「マーケティングプロジェクト」: ブランドガイドライン・ターゲット顧客を記録。一貫したトーンで文章を作成
  • 「学習プロジェクト」: 現在の理解レベル・学習目標を記録。適切な難易度で説明してもらえる

パターン 3: フィードバックで記憶を改善する

「その回答、箇条書きじゃなくて文章でお願い」「やっぱり短めの回答の方がいい」など、会話の中でフィードバックを伝えると、Claude が記憶を更新していきます。

より良い記憶を作るためには、Claude に積極的にフィードバックを伝えましょう。

「毎回説明する手間」がなくなる具体例

Memory なし(毎回の会話でこれを説明する必要がある):

私は IT 企業の営業マネージャーで、チームは 5 人います。
回答は箇条書きで 3〜5 点にまとめ、専門用語は使わないでください。
現在、来期の新規顧客開拓プランを策定しています。
それを踏まえて、営業戦略のアドバイスをください。

Memory あり(次回からこれだけで OK):

来期の新規顧客開拓に向けた営業戦略のアドバイスをください。

前提情報は Claude がすでに把握しているので、本題だけ伝えれば十分です。

つまづきポイント: 「Memory があるのに、前の話を覚えていないみたい」という場合、最後に会話してから 24 時間以内の情報は、まだ Memory に反映されていない可能性があります。また、設定画面で Memory が「一時停止」になっていないか確認してみてください。

次のステップ

Memory の基本を理解したら、Claude をさらに使いこなしましょう。