Artifacts — 会話の横で「モノ」を作る
Artifacts(アーティファクツ)は、Claude との会話の中で生まれたコンテンツを、チャット画面の右側に独立したパネルで表示する機能です。文章やコード、グラフ、さらには操作できるミニアプリまで、幅広いものを作りながら会話を続けられます。
Free プランを含むすべてのプランで利用できます。 プログラミングの知識は一切不要で、普通の言葉で依頼するだけで動作するアプリケーションも作れます。
この記事では、Artifacts の基本的な仕組みから具体的な業務活用まで、丁寧に解説します。
Artifacts とは
通常の Claude との会話では、回答はチャットの流れの中にそのまま表示されます。一方、Artifacts が有効になると、ある程度まとまった分量・形式を持つコンテンツは、チャット画面とは別の専用パネル(右側に開く)に表示されます。
通常の回答と何が違う?
| 通常の回答 | Artifacts | |
|---|---|---|
| 表示場所 | チャットの流れの中 | 右側の独立パネル |
| 編集のしやすさ | スクロールして探す必要がある | パネルに常時表示されている |
| コピー・保存 | テキストを手動で選択 | ボタン1つでコピー・ダウンロード |
| バージョン管理 | 過去の版は残らない | 修正のたびに版が記録される |
いつ Artifacts が生成されるか
Claude は以下の条件を満たすコンテンツを自動的に Artifact として生成します。
- 内容がある程度まとまっている(おおむね 15 行以上)
- 後から参照・修正する可能性が高い
- 会話の文脈なしに単独で成り立つ
逆に、短い回答や一言の返答は通常どおりチャット内に表示されます。
Artifacts の有効化方法
Artifacts が表示されない場合は、設定を確認してください。
- 画面左下のアカウント名(またはイニシャル)をクリックします
- 「Settings(設定)」を開きます
- 「Capabilities(機能)」タブを選択します
- 「Artifacts」のトグルをオンにします
つまづきポイント: 設定を有効にしても Artifacts が表示されない場合は、ブラウザのページを更新(F5 キー)してみてください。また、依頼内容が短すぎると Artifact は生成されず、チャット内に表示されます。「〇〇について詳しくまとめて」のように、まとまった量のアウトプットを求める指示を入れると確実です。
Artifacts の種類
Artifacts で生成できるコンテンツには、大きく分けて以下の種類があります。
ドキュメント(Markdown 形式)
報告書、企画書、議事録、手順書など、文字ベースのドキュメントです。見出しや箇条書き、表などが整形された状態で表示されます。
例: 「新製品の発売に向けた販売計画書を作って」「先週のミーティングの議事録を要約して」
コード
Python、JavaScript、HTML、CSS など各種プログラミング言語のコードです。エンジニア以外の方は直接使う機会は少ないかもしれませんが、後述のアプリ作成に内部的に使われています。
HTML アプリ(インタラクティブ)
ブラウザ上で動作する Web ページやミニアプリです。ボタンをクリックしたり、数値を入力したりして操作できます。プログラミングの知識がなくても、「〇〇を計算するツールを作って」と依頼するだけで動くアプリが出来上がります。
例: 計算ツール、チェックリスト、タイマー、簡単なゲーム
SVG 画像・図解
SVG(スケーラブルベクターグラフィックス — 拡大縮小しても画質が劣化しない形式のデータ画像)として作成されたイラストや図解です。フローチャート、組織図、シンプルなアイコンなどを作れます。
例: 業務フローの図解、組織図、インフォグラフィック
Mermaid 図表
Mermaid(マーメイド — テキストをもとに図表を自動生成するツール)を使ったフローチャートや順序図、ガントチャートなどです。
例: プロジェクトの工程管理チャート、システムの流れ図
Artifacts の基本操作
生成する
特別な操作は必要ありません。Claude に依頼するだけで、内容に応じて自動的に Artifact が生成されます。
企画書のドラフトを書いてください。
テーマは「社内の業務効率化 DX 推進」で、
背景・目的・施策案・スケジュール・予算感の構成でまとめてください。
会話で修正する
Artifact が表示された後も、会話を続けることで内容を修正できます。チャット欄に修正指示を入力するだけです。
# 修正指示の例
「第2章をもっと具体的にしてください」
「全体をもっとシンプルな言葉に書き直して」
「予算感のセクションに別案も追記してください」
修正するたびに Artifact の内容が更新されます。
バージョンを切り替える
修正を重ねると、Artifact パネルの上部にナビゲーション(← →)が表示されます。これをクリックすることで、過去のバージョンに戻ったり、比較したりできます。
「一つ前の版の方がよかった」と感じたときに便利です。
コピー・ダウンロードする
Artifact パネルの右下にあるボタンから、コンテンツをコピーしたりダウンロードしたりできます。
- コピー: クリップボードにテキストをコピーします
- ダウンロード: ファイルとしてダウンロードします。Word(.docx)、PDF、Excel(.xlsx)、PowerPoint(.pptx)など、内容に応じた形式で保存できます
公開・共有する
完成した Artifact は、リンクを作成して他の人と共有できます。Claude アカウントを持っていない人でもリンクを開いて閲覧・操作できるため、社外の方への共有にも使えます。
Artifact パネルの上部にある「Share」ボタンをクリックすると、公開リンクが生成されます。また、Web サイトへの埋め込み用コードも取得できます。
つまづきポイント: 一度「非公開」に設定した Artifact は、同じ Artifact を再び公開することができません。再度公開したい場合は、新しく Artifact を作り直す必要があります。大切な Artifact のリンクは消す前に手元に保存しておきましょう。
活用例:ビジネス文書の作成
Artifacts は企画書、報告書、議事録などのビジネス文書作成に威力を発揮します。
企画書の作成
以下のようなプロンプトをそのままコピーして使えます。
以下の情報をもとに、社内提案用の企画書を作成してください。
テーマ:カスタマーサポートへの AI チャットボット導入
背景:問い合わせ件数が月 500 件を超え、対応が追いついていない
目的:一次対応の自動化で、担当者の工数を 30% 削減する
対象読者:経営企画部・情報システム部
構成:背景と課題 / 提案内容 / 期待効果 / スケジュール / コスト概算
議事録の整理
会議のメモや音声文字起こしを貼り付けて、整形された議事録を作ってもらえます。
以下は本日の会議の録音を文字起こしした内容です。
これをもとに、以下の構成で議事録を作成してください。
・日時・参加者・議題
・各議題の議論内容(箇条書き)
・決定事項
・次回アクション(担当者・期限付き)
【文字起こし内容】
(ここに文字起こしを貼り付ける)
操作マニュアルの作成
社内ツールや業務手順のマニュアルも Artifact で作れます。
社内の経費精算システム(〇〇)の操作マニュアルを作成してください。
対象は入社3年目以内の一般社員で、
PC 操作に不慣れな人でもわかるよう、ステップバイステップで丁寧に説明してください。
主な操作:領収書の登録 / 申請書の作成・提出 / 承認状況の確認
つまづきポイント: 指示が曖昧だと、Claude の解釈で内容が決まってしまいます。「対象読者は誰か」「どんな構成にしたいか」「どのくらいの長さか」を最初から明示すると、修正が少なく済みます。
活用例:データの可視化
数字やデータを視覚的に表現するグラフやダッシュボードも、Artifacts で簡単に作れます。プログラミングは一切不要です。
CSV データからグラフを作る
月次売上データなどの CSV ファイルを添付してから、以下のように依頼します。
添付の CSV ファイルは、2025年1月〜12月の月次売上データです。
以下のグラフを作成してください。
・月別売上の棒グラフ(前年比も重ねて表示)
・商品カテゴリ別の構成比を円グラフで
・月ごとに色分けして、全体のトレンドがわかるようにしてください
数値データを直接入力して可視化する
CSV がなくても、数字を直接貼り付けてグラフを作れます。
以下のデータを使って、月別のアクティブユーザー数の推移を
折れ線グラフで可視化してください。
グラフには目標ライン(5,000人)も追加してください。
1月:3,200人
2月:3,800人
3月:4,100人
4月:4,600人
5月:4,900人
6月:5,300人
KPI ダッシュボードを作る
複数の指標をまとめて表示するダッシュボードも作れます。
以下の KPI を一覧表示するシンプルなダッシュボードを HTML で作ってください。
それぞれ「今月の実績」と「達成率」を表示し、
達成率が 80% 以下の場合は赤色、80〜100% は黄色、100% 以上は緑色で表示してください。
売上:8,500万円(目標:1億円)
新規顧客数:42社(目標:50社)
継続率:94%(目標:95%)
NPS スコア:52(目標:50)
つまづきポイント: グラフのデザインや色が気に入らない場合は、「青とオレンジの2色だけにして」「背景を白にして」「フォントを大きくして」のように、会話で具体的に指示すれば修正できます。
活用例:ミニアプリ・ツールの作成
Artifacts の最も驚かれる使い方が、インタラクティブなアプリの作成です。HTML と JavaScript で動くウェブアプリを、プログラミングの知識なしに作れます。
計算ツールを作る
業務でよく使う計算をアプリ化できます。
以下の機能を持つ見積金額計算ツールを HTML で作成してください。
・サービスの種類(A プラン / B プラン / C プラン)をドロップダウンで選択
・数量を入力するフィールド
・割引率(0〜30%)をスライダーで調整
・税込み・税抜き金額をリアルタイムで計算して表示
・「見積書を印刷」ボタンを付ける
デザインはシンプルでビジネスっぽく、スマホでも使いやすい画面にしてください。
チェックリストやフォームを作る
社内手順の確認チェックリストや、簡易アンケートフォームも作れます。
新入社員オンボーディングのチェックリストアプリを作ってください。
・入社前 / 入社初日 / 入社1週間 / 入社1ヶ月のタブで切り替えられる
・各タスクにチェックボックスがあり、チェックするとグレーアウトされる
・上部に全体の進捗バー(%)を表示
・完了したタスクの数と残りのタスク数も表示する
クイズ・学習ツールを作る
社内研修用のクイズや、製品知識の確認ツールも簡単に作れます。
社内セキュリティ研修用の確認クイズアプリを作ってください。
問題は5問で、各問題に4択の選択肢を表示します。
回答後に正解・不正解を表示し、解説も表示してください。
最後に合計スコアを表示して、80点以上なら「合格」と表示してください。
問題内容:
1. パスワードの最低文字数は? → 正解: 12文字以上
2. フィッシングメールの見分け方は? → 正解: 差出人のドメインを確認
(以降、問題を追加)
つまづきポイント: 作ったアプリは Artifact パネル内でそのまま操作できます。「動作確認してみたい」と思ったら、パネル内のボタンやフォームを直接クリック・入力してみてください。思った通りに動かない部分があれば「〇〇の部分が動かないので直して」と伝えるだけで修正できます。
Artifacts カタログ ── 他の人が作ったものを活用する
claude.ai/catalog/artifacts では、世界中のユーザーが作って公開した Artifacts を無料で閲覧・利用できます。
カタログでできること
- ブラウズ: ツール、教育、ゲーム、ビジュアライゼーションなど、カテゴリ別に公開 Artifacts を探せます
- 即実行: 気になる Artifacts はリンクを開くだけですぐに使えます。Claude アカウントがなくても閲覧・操作できます
- カスタマイズ: ログインした状態でカタログの Artifacts を開くと、自分用にアレンジするための会話を Claude と始められます
自分の Artifacts を公開する
気に入った Artifacts は、カタログに公開してコミュニティと共有できます。
- Artifact パネルの上部にある「Share」ボタンをクリックします
- 「Publish to catalog」オプションを選択します
- タイトルと説明を入力して公開します
つまづきポイント: カタログで見つけた Artifacts を「自分の業務用にアレンジしたい」場合は、その Artifacts を開いた状態で Claude に依頼するのが最短ルートです。「この計算ツールに消費税の設定項目を追加して」のように話しかければ、元のコードをベースに修正してくれます。
次のステップ
Artifacts を使いこなせるようになったら、Claude Web の他の機能も活用してみましょう。
- Claude Web(claude.ai)の使い方 — Artifacts 以外の機能(Projects、Deep Research、Memory など)をまとめて確認する
- Deep Research — 複雑な調査を Claude に任せる — 作成した文書の根拠となる調査を Claude に依頼する
- Memory — Claude があなたを覚える — よく使う Artifacts のスタイルを記憶させて、毎回の指示を省く