Projects — 会話とナレッジをまとめて管理する
Claude に仕事の相談をするとき、毎回「私は○○会社の営業担当で、回答は箇条書きでお願いします」と説明し直すのは手間がかかります。また、複数の仕事プロジェクトを並行して進めていると、会話がどんどん増えて管理が難しくなることもあります。
Projects(プロジェクト)は、こうした問題を解決するための機能です。関連する会話・ファイル・設定をひとつのワークスペースにまとめられ、プロジェクトごとに Claude への指示や参考資料を設定できます。
この記事では、Projects の基本から応用まで、業務での具体的な活用方法を丁寧に解説します。
Projects とは
Projects は、Claude との会話を「仕事ごと・テーマごと」に整理できる専用のワークスペースです。
通常の会話との違い
| 通常の会話 | Projects | |
|---|---|---|
| 会話の整理 | 一覧に並ぶだけ | プロジェクト単位でまとめられる |
| Claude への指示 | 毎回説明が必要 | カスタム指示として保存され、自動的に引き継がれる |
| 参考資料の共有 | ファイルを毎回添付 | ナレッジとして登録しておける |
| チームでの利用 | 個人のみ | Team / Enterprise プランでメンバーと共有できる |
Projects のうれしいポイント
1. 前提を毎回説明しなくていい
「私は人事担当です」「回答は日本語の箇条書きで」「専門用語は使わないで」—— こうした前提条件をカスタム指示として一度設定しておくと、そのプロジェクト内のすべての会話に自動で適用されます。
2. 参考資料をいつでも参照できる
社内マニュアル、製品仕様書、過去の報告書など、業務に必要なファイルをナレッジとして登録しておくと、Claude がそれらを参考にして回答してくれます。
3. 会話を整理して管理できる
「採用プロジェクト」「マーケティング施策」「新製品開発」など、テーマ別に会話をまとめられます。後から会話を探すのも楽になります。
プロジェクトの作り方
Projects は数分で作成できます。手順を確認しましょう。
新規プロジェクトの作成
- claude.ai にログインします
- 左サイドバーの「Projects」セクションを探します
- 「+ New Project」または「New project」ボタンをクリックします
- プロジェクト名を入力します(例:「採用業務」「マーケティング施策 2026」)
- 「Create project」をクリックして完成です
作成直後はカスタム指示とナレッジが空の状態です。次のセクションで設定方法を解説します。
プロジェクト内での会話の始め方
プロジェクトを開いた状態で「New chat」ボタンをクリックすると、そのプロジェクトに紐づいた会話が始まります。カスタム指示とナレッジが自動的に読み込まれた状態で Claude と話せます。
会話の管理
プロジェクト内の会話は、以下の操作で管理できます。
- スター付き: 重要な会話を目立つようにマーク
- アーカイブ: 終了した会話を一時的に非表示にする
- 削除: 不要な会話を削除する
つまづきポイント: 誤って会話を削除してしまうと復元できません。削除前に内容を確認するか、アーカイブ機能を活用しましょう。
カスタム指示を設定する
カスタム指示とは、「このプロジェクトの会話では、常にこのように振る舞ってほしい」という Claude への共通の指示です。
カスタム指示の設定方法
- プロジェクトを開きます
- 右上または設定アイコンから「Project settings」または「Edit」を開きます
- 「Custom instructions」(カスタム指示)の欄に指示を入力します
- 保存します
カスタム指示の具体例
用途別の指示例をそのままコピーして使えます。自分の業務に合わせて内容を変更してください。
営業・提案業務向け
あなたは私の営業アシスタントです。
以下のルールで回答してください:
- 回答は日本語の箇条書き(3〜5点)でまとめる
- 具体的な数字や事例を使って説明する
- 専門用語は使わず、顧客にそのまま説明できる言葉を使う
- 提案書・メールを作る場合は、丁寧かつ簡潔なビジネス文体にする
人事・採用業務向け
あなたは人事部の採用担当のアシスタントです。
- 求人票、面接質問、評価コメントなど採用に関する文書を作成するときは、
公正で偏りのない表現を使う
- 日本の労働基準法・雇用機会均等法に配慮した内容にする
- 回答は日本語で、社内向けの文書は丁寧語、外部向けは敬語を使い分ける
マーケティング・コンテンツ制作向け
あなたはコンテンツマーケティングのアシスタントです。
ブランドについて:
- ブランド名:○○○
- ターゲット:30〜40代の働くビジネスパーソン
- トーン:親しみやすく、実用的。難しい言葉は避ける
記事やSNS投稿を書く際は、上記のブランドガイドラインに沿ってください。
学習・研究向け
私は○○を学んでいる初心者です。
説明するときは:
- 中学生でもわかる言葉で、例え話を交えて説明する
- 重要な用語は初登場時に必ず意味を説明する
- 最後に「確認テスト」として簡単なクイズを1問付ける
つまづきポイント: カスタム指示は長くなりすぎると逆効果になることがあります。最も重要な指示を3〜5点に絞ると、Claude がよりきちんと守ってくれます。細かい指示は個別の会話の中で都度伝えましょう。
ナレッジを活用する
ナレッジ(Knowledge)とは、そのプロジェクトで Claude が参考にできる文書や資料のことです。
ナレッジベース(Knowledge Base)とも呼ばれるこの機能を使うと、ファイルをアップロードしておくだけで、そのプロジェクト内の会話でいつでも内容を参照してもらえます。
ナレッジへのファイル追加方法
- プロジェクトの設定画面(Project settings)を開きます
- 「Knowledge」セクションの「Add content」または「Upload files」をクリックします
- ファイルを選択してアップロードします
- アップロードが完了したら、プロジェクト内の会話でそのファイルを参照できます
対応ファイル形式
さまざまな形式のファイルをナレッジとして登録できます。
| 種類 | 対応形式 |
|---|---|
| 文書 | PDF、DOCX、ODT、RTF、EPUB、TXT |
| ウェブ・データ | HTML、CSV、JSON |
| 表計算 | XLSX |
| 画像 | JPEG、PNG、GIF、WEBP |
| 音声 | MP3、WAV |
PDF に関する補足:
- 100 ページ以下の PDF は、画像・図表を含む視覚的な内容も分析できます
- 1,000 ページを超える PDF はテキスト部分のみの分析になります
容量制限
| 制限 | 内容 |
|---|---|
| 1 ファイルの最大サイズ | 30 MB |
| 1 会話への最大添付数 | 最大 20 ファイル |
Free プランでは、ナレッジの利用範囲はコンテキストウィンドウ(Claude が一度に処理できる情報量)の範囲内に限られます。Pro・Max・Team・Enterprise プランでは RAG(検索拡張生成 — 大量の文書から必要な情報を自動的に検索して参照する技術)により、最大 10 倍の容量のナレッジを活用できます。
ナレッジの活用パターン
社内マニュアル・規程を登録する
就業規則、経費精算規程、業務手順書などをアップロードしておくと、「経費精算の期限はいつですか?」「出張申請の手順を教えて」といった質問に、文書の内容をもとに答えてもらえます。
製品・サービスの資料を登録する
製品仕様書、価格表、Q&A 集などを登録しておくと、顧客からの問い合わせ対応や提案資料の作成に活用できます。
研究資料・論文を登録する
調査したい文献や資料をまとめてアップロードしておくと、「この論文の要点を教えて」「この 3 つの資料に共通している考え方を整理して」といった質問に答えてもらえます。
つまづきポイント: ナレッジに追加したファイルの内容を Claude がうまく参照してくれない場合は、「ナレッジに登録した○○(ファイル名)を参考に」と明示的に伝えると確実です。
活用例
業種・用途別の具体的な使い方を紹介します。プロンプト例はそのままコピーして使えます。
採用業務
ナレッジに「求人票」「面接評価シート」「採用ペルソナ資料」を登録しておきます。
来週の○○職の候補者との面接に向けて、
ナレッジに登録した求人票と評価シートをもとに
面接で使う質問リストを10問作ってください。
・候補者のバックグラウンドを確認する質問
・実務能力を測る質問
・カルチャーフィットを確認する質問
の3カテゴリに分けてください。
カスタマーサポート
ナレッジに「製品マニュアル」「よくある質問集(FAQ)」「対応ガイドライン」を登録しておきます。
お客様から以下の問い合わせが来ました。
ナレッジに登録したFAQとマニュアルを参考に、
丁寧で的確な返信メールを作成してください。
【お客様の問い合わせ内容】
(ここに問い合わせ文を貼り付ける)
返信は300字以内で、余計な情報は省いてください。
社内教育・研修資料の作成
ナレッジに「社内規程」「業務マニュアル」「過去の研修資料」を登録しておきます。
新入社員向けのオンボーディング研修の
スライド資料のアウトラインを作ってください。
・所要時間:2時間
・対象:営業職の新入社員
・含めるべき内容:会社のルール・営業の基本フロー・CRMツールの使い方
ナレッジに登録した業務マニュアルの内容に沿って構成してください。
コンテンツ制作(ブログ・SNS)
ナレッジに「過去の記事」「ブランドガイドライン」「キーワードリスト」を登録しておきます。
今月のブログ記事のテーマを5つ提案してください。
・ターゲット読者:中小企業の経営者
・季節感:春(4月)
・ナレッジに登録した過去記事とかぶらないようにする
・各テーマには想定される検索キーワードも1つ添えてください
つまづきポイント: 「ナレッジを活用してほしいのに、Claude が一般的な回答をしてしまう」場合は、「ナレッジに登録した資料を参考にして」と明示的に指示に含めてみてください。
チームで共有する(Team / Enterprise)
Team プランまたは Enterprise プランでは、プロジェクトをチームメンバーと共有できます。
チームでのプロジェクト共有は Team プランおよび Enterprise プランのみの機能です。Free・Pro・Max プランでは個人利用のみになります。
公開範囲の設定
プロジェクトには以下の公開範囲を設定できます。
| 設定 | 説明 |
|---|---|
| プライベート | 作成者のみアクセス可能 |
| 公開(チーム内) | 組織内のすべてのメンバーがアクセス可能 |
権限の種類
メンバーごとに以下の権限を設定できます。
| 権限 | できること |
|---|---|
| Can use(閲覧・チャット) | プロジェクト内で会話できる。カスタム指示・ナレッジの編集は不可 |
| Can edit(編集) | カスタム指示・ナレッジの追加・変更が可能 |
メンバーの招待方法
個別に招待する場合:
- プロジェクトの設定(Project settings)を開きます
- 「Share」または「Members」セクションを選択します
- 招待したいメンバーのメールアドレスを入力します
- 権限(Can use / Can edit)を選択して招待します
一括で招待する場合:
複数のメンバーを招待する場合は、メールアドレスをカンマ区切りで入力するか、一覧として貼り付けることで一括招待できます。
チームでの活用例
カスタマーサポートチーム
- ナレッジに製品マニュアルと FAQ を登録
- カスタム指示に対応のトーンとルールを記載
- チーム全員に「Can use」権限を付与
- → 誰でも同じ品質でお客様対応ができる
マーケティングチーム
- ナレッジにブランドガイドラインとターゲット顧客の定義を登録
- カスタム指示にブランドのトーン&マナーを記載
- 担当者に「Can edit」権限、関係者に「Can use」権限
- → 一貫したブランドメッセージでコンテンツを制作できる
つまづきポイント: 共有プロジェクトのカスタム指示やナレッジを変更すると、そのプロジェクトを使っているすべてのメンバーに影響します。「Can edit」権限を付与するメンバーは慎重に選びましょう。
プランごとの違い
Projects の機能はプランによって異なります。
| 機能 | Free | Pro / Max | Team | Enterprise |
|---|---|---|---|---|
| プロジェクト数 | 最大 5 件 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
| カスタム指示 | 利用可 | 利用可 | 利用可 | 利用可 |
| ナレッジベース | コンテキストウィンドウ内 | RAG で最大 10 倍拡張 | RAG で最大 10 倍拡張 | RAG で最大 10 倍拡張 |
| チーム共有 | 不可 | 不可 | 利用可 | 利用可 |
| 管理者機能 | なし | なし | あり | あり |
RAG(検索拡張生成) とは、大量のナレッジ文書から必要な情報を自動的に検索して、回答に活かす技術です。Free プランではコンテキストウィンドウ(一度に処理できる情報量の上限)を超えるサイズのナレッジは活用できませんが、有料プランでは自動的に検索して参照するため、より大量の資料を登録しておけます。
Free プランの「最大 5 件」という制限は、アーカイブしたプロジェクトもカウントされます。件数の上限に達した場合は、不要なプロジェクトを削除するか、有料プランへのアップグレードを検討してください。
次のステップ
Projects の基本を理解したら、他の機能と組み合わせてさらに活用の幅を広げましょう。
- Claude Web(claude.ai)の使い方 — Projects 以外の機能(Artifacts、Deep Research、Memory など)をまとめて確認する
- Artifacts の使い方 — 会話の中でドキュメントやコードを生成・編集する。Projects のナレッジと組み合わせると強力
- Memory — Claude があなたを覚えてくれる — プロジェクトをまたいで Claude に覚えておいてほしい情報を管理する方法
- Deep Research の使い方 — 複雑な調査を Claude に任せる。調査結果をナレッジとして保存する活用法も