Claude マニュアル

Deep Research — 複雑な調査を Claude に任せる

「市場調査をしたいけど、どこから調べればいいかわからない」「競合他社の情報をまとめるのに丸一日かかってしまう」——そんな悩みを持つビジネスパーソンのために、Claude には Deep Research(ディープリサーチ)という機能があります。

Deep Research を使うと、Claude が自動的にウェブ上の多数の情報源を横断して調査し、引用付きの詳細なレポートを作成してくれます。この記事では、その仕組みと使い方を丁寧に解説します。

Deep Research とは

Deep Research は、通常の AI チャットとは根本的に異なるアプローチで情報を調べる機能です。

通常の会話との違い

普段 Claude に質問すると、Claude は自分の知識をもとに回答します。Web 検索を使う場合でも、1〜2 回の検索で情報を取得するのが一般的です。

Deep Research は違います。複数の AI(マルチエージェント)が役割分担して、並行して大量の情報源を調べ上げる仕組みになっています。

具体的には次のような流れで動いています。

  1. リードエージェント(指揮役)がリサーチの戦略を立てる
  2. 複数のサブエージェント(実行役)が異なる角度から同時に検索・分析する
  3. リードエージェントが収集した情報を統合し、一貫したレポートにまとめる

この仕組みにより、人間が手作業で行うような「関連サイトを数十件読んで、重要な情報を整理する」という作業を、Claude が自動でこなしてくれます。

Deep Research でできること

  • 複数のウェブサイト・レポート・ニュース記事を横断した調査
  • 出所(引用元 URL)付きのレポート生成
  • 情報の比較・対照(競合比較、制度比較など)
  • 最新の情報を含む包括的なまとめ

注意: Deep Research が生成したレポートの情報は、必ずしもすべて正確とは限りません。AI が誤った情報を自信ありげに述べてしまう「ハルシネーション」が起こる可能性があります。重要な意思決定に使う場合は、必ず引用元の原文を確認してください。

使い方

Deep Research の操作は難しくありません。「Research」ボタンを有効にして、調べたいテーマを入力するだけです。

ステップ 1: Research ボタンを有効にする

チャット画面の入力欄近くにある「Research」ボタンをクリックします。ボタンが青色になれば有効な状態です。

つまづきポイント: 「Research」ボタンが見当たらない場合は、有料プランにアップグレードしているか確認してください。Deep Research は Pro・Max・Team・Enterprise プランのみで利用できます。Free プランでは使用できません。

ステップ 2: 調査テーマを入力する

Research が有効な状態で、調べたいテーマをチャット欄に入力して送信します。

2026年の日本のHRテクノロジー市場の動向と、主要なプレイヤーを調べてまとめてください。
中小企業向けの採用管理ツールを中心に、機能比較と価格帯もわかるようにお願いします。

ステップ 3: 調査計画を確認する

Claude はまず調査計画を提示します。「どんな観点で調べるか」を事前に確認してくれるので、方向性が合っているか確認しましょう。

もし方向性が違う場合は、「競合比較よりも価格動向を詳しく調べてほしい」などと返信して修正できます。問題なければ進めるよう伝えましょう。

また、Claude が「具体的にどの業界を対象にしますか?」のような確認質問をしてくることもあります。できるだけ具体的に答えると、より精度の高いレポートが生成されます。

ステップ 4: レポートを受け取る

調査が始まると、Claude は自動的に複数の検索を実行し始めます。画面には現在調べている内容が随時表示されます。

所要時間の目安は次のとおりです。

テーマの複雑さ目安時間
シンプルな調査(競合 3〜5 社の比較など)5〜10 分
中程度の調査(市場動向 + 競合分析)10〜20 分
複雑な調査(業界全体のトレンド + 規制 + 事例)20〜30 分

調査中はそのままページを開いたままにしておきましょう。タブを閉じると調査が中断される場合があります。

向いているテーマ・向いていないテーマ

Deep Research は強力な機能ですが、すべての質問に向いているわけではありません。用途に合わせて使い分けることが大切です。

向いているテーマ

市場調査・業界分析

  • 「2026年の国内 EC 市場の規模と成長トレンド」
  • 「食品業界における DX 推進の現状と課題」

競合分析

  • 「主要なプロジェクト管理ツール(Asana、Notion、Monday.com 等)の機能・価格比較」
  • 「国内の採用管理システムの比較と各社の強み」

業界トレンド・技術動向

  • 「生成 AI を活用したカスタマーサポートの最新事例」
  • 「ESG 経営に取り組む日本企業の事例集」

制度・規制の調査

  • 「改正育児・介護休業法の概要と企業の対応状況」
  • 「個人情報保護法改正が SaaS 企業に与える影響」

人事・採用

  • 「エンジニア採用市場の最新動向と効果的な求人票の書き方」
  • 「リモートワーク制度の先進事例と導入ポイント」

向いていないテーマ

テーマ理由代わりにすること
「今日の株価を教えて」などリアルタイム性が必要な情報Web 情報に時間差があるため専用の金融サービスを使う
「○○さんの連絡先を調べて」など個人情報の収集プライバシーの問題公式の連絡先を直接確認
「うちの会社の売上傾向は?」など内部データが必要な質問社外の情報しか調べられないため社内データを添付して通常チャットで分析
ごく限られた分野や超ニッチな専門知識Web 上の情報が少ないため精度が落ちる専門家や文献を直接参照

つまづきポイント: 「なんとなく調べてほしい」という曖昧なテーマは避けましょう。Deep Research はテーマが明確なほど精度の高いレポートを生成します。曖昧なテーマで調査を始めると、方向性が外れたレポートが生成されることがあります。

良い調査依頼の書き方

Deep Research の品質は、依頼の書き方で大きく変わります。

具体的な依頼 vs 曖昧な依頼

曖昧な依頼(NG例)

マーケティングについて調べて

この依頼では、Claude は「何について」「どの観点で」「どの程度詳しく」調べればいいかわかりません。

具体的な依頼(OK例)

2026年の日本における B2B 向けコンテンツマーケティングの最新トレンドを調査してください。

調査してほしい内容:
1. 効果的なコンテンツ形式(ホワイトペーパー、動画、ウェビナー等)とその活用事例
2. 主要なプラットフォーム(LinkedIn、note 等)ごとの特徴と使い分け
3. 生成 AI がコンテンツ制作に与えている影響と先進企業の対応事例

対象:従業員 100〜1000 名規模の IT 系企業のマーケティング担当者向けの視点で

業務シナリオ別のプロンプト例

人事・採用担当者向け

2026年の ITエンジニア採用市場の現状を調査してください。

以下の点を含めてまとめてください:
- 求人倍率の推移と採用難易度の変化
- エンジニアが転職先を選ぶ際の重視ポイント(給与・リモートワーク・技術スタック等)
- 中小企業が大企業と差別化して採用を成功させている事例 3〜5 件
- 効果的な求人票の書き方と記載すべき情報

マーケティング担当者向け

競合他社 3 社(A 社、B 社、C 社)のデジタルマーケティング戦略を比較調査してください。

比較してほしい項目:
- 各社のコンテンツ戦略(SNS、ブログ、メルマガ等)
- SEO・検索流入の状況(推定でよい)
- 広告出稿の傾向(Google 広告・SNS 広告等)
- ターゲットとしている顧客層

自社の戦略改善に活かせる示唆も加えてください。

法務・コンプライアンス担当者向け

2025年〜2026年に施行・改正された、SaaS 企業が遵守すべき主な法律・規制を調査してください。

対象:国内向けに B2B SaaS を提供する企業

含めてほしい情報:
- 法律・規制の名称と施行日
- 企業に求められる具体的な対応内容
- 違反した場合のペナルティ
- 先行して対応した企業の事例(あれば)

Claude が確認質問をしてきたら

Deep Research を開始すると、Claude が調査方針の確認や追加情報の質問をすることがあります。たとえば次のようなメッセージです。

「調査対象の地域は日本国内のみですか?それとも海外も含めますか?」

こうした質問には、できるだけ具体的に答えましょう。回答が曖昧だと、後でレポートの方向性がずれてしまうことがあります。急いでいる場合は「日本国内のみ、2026年時点の情報を優先してください」のようにポイントを絞って答えるのが効果的です。

レポートの読み方と活用

引用の確認方法

Deep Research のレポートには、各情報の出所として引用元の URL が含まれています。レポート内の番号([1][2] のような表記)をクリックすると、元の情報源にアクセスできます。

重要な情報は、必ず引用元の原文を確認する習慣をつけましょう。Claude が「Aという調査によると売上は 30% 増加」と書いていても、実際の資料には「一部の企業において 30% 増加」と書かれている場合があります。

レポートの信頼性を見極めるポイント

チェック項目確認すること
引用元の質公式サイト・学術論文・大手メディアなど信頼性の高いソースか
情報の新しさ引用元の日付が古くないか(特に変化の速い業界では重要)
情報の一致複数の引用元が同じ内容を指示しているか
推測と事実の区別「〜と考えられる」「〜の可能性がある」という表現に注意

社内資料への転用

Deep Research のレポートは、そのまま社内資料のたたき台として使えます。活用例をいくつか紹介します。

企画書・提案書のバックデータとして 「この提案の根拠となる市場データ」として、レポートの要点を引用できます。その際は引用元の URL を明記しましょう。

社内勉強会の資料として 業界トレンドや技術動向のレポートは、社内共有用のサマリー資料として加工しやすいです。

議事録・会議資料の参考資料として 特定のテーマについて議論する前に Deep Research でバックグラウンドを調査しておくと、会議の質が上がります。

Artifact でレポートを整形する

レポートを受け取ったら、続けて次のように依頼してみましょう。

このレポートの内容を、役員向けの報告書として A4 1ページにまとめた
Artifact を作成してください。

Claude が、レポートの内容をベースにした整形済みドキュメントを Artifact として生成してくれます。そのまま Word でダウンロードして利用できます。

つまづきポイント: レポートをそのままコピーして社外に提出するのはリスクがあります。引用元の確認なしに情報を使うと、誤情報を広めてしまう可能性があります。必ず一次情報を確認してから使用しましょう。

利用上限と料金

対応プランと制限

Deep Research は、有料プランのみで利用できます。Free プランでは使用できません。

注意: 料金は変更される場合があります。最新の情報は Anthropic 公式の料金ページ で確認してください。

プラン月額料金Deep Research の利用
Free無料利用不可
Pro$20利用可能(利用制限あり)
Max 5x$100Pro の 5 倍の利用量
Max 20x$200Pro の 20 倍の利用量
Team / Enterprise要確認利用可能

トークン消費について

「トークン」とは、AI が処理するテキストの単位です(1,000 トークン ≒ 日本語 500〜700 文字程度)。プランの利用制限はトークン消費量で計算されます。

Deep Research は通常の会話より大幅にトークンを消費します。

利用方法トークン消費の目安
通常のチャット1x(基準)
Web 検索付きチャット約 4 倍
Deep Research約 15 倍

Deep Research 1回のリサーチで、通常の会話 15 回分程度のトークンを消費するイメージです。

効率的に使うコツ

  • 簡単な質問は通常のチャットで: 「○○について教えて」レベルの質問には Deep Research は使わず、通常会話を使いましょう
  • 週に数回の本格調査に絞る: 月のトークン上限を考慮し、本当に深く調べたいテーマを厳選して使うのが効果的です
  • 1回の依頼でまとめる: 関連するテーマはひとつのリサーチ依頼にまとめると、トークンを節約できます

つまづきポイント: 「利用制限に達しました」というメッセージが出た場合は、利用制限がリセットされるまで待つか、プランのアップグレードを検討してください。利用制限は 5 時間のローリングウィンドウ方式でリセットされます(すべての有料プラン共通)。

次のステップ

Deep Research の使い方を理解したら、さらにステップアップしましょう。