Claude マニュアル

Claude で PDF を翻訳する方法

海外取引先からの提案書、英語で書かれた業界レポート、調達先の技術仕様書——英語の資料を読まなければ仕事が進まない場面は、職種を問わず増えています。

Google 翻訳や DeepL は手軽で便利なツールですが、専門用語が多い文書や、前後の文脈をつかまないと意味が取れない文章では、どうしても不自然な訳が出ることがあります。Claude は文書全体の内容を把握したうえで翻訳するため、専門分野の資料を「実務で使える日本語」にすることが得意です。

この記事では、PDF を Claude に渡して翻訳する手順と、分野ごとに使えるプロンプトテンプレートを紹介します。


基本の翻訳手順

まずは、PDF を添付して翻訳を依頼する最もシンプルな流れを確認しましょう。

ステップ 1: ファイルを添付する

claude.ai を開き、入力欄左のクリップアイコン(+ボタン)をクリックします。「Upload from computer(コンピューターからアップロード)」を選び、翻訳したい PDF を選択します。

ステップ 2: 翻訳の指示を入力して送信する

ファイルがアップロードされたら、入力欄に翻訳の指示を入力します。最低限、これだけでも翻訳が始まります。

添付の PDF を日本語に翻訳してください。

「翻訳してください」だけで試してみよう

まずはシンプルな指示で翻訳を試してみましょう。出力を見てから「もっとフォーマルに」「専門用語は英語のままにして」などの追加指示を出すことができます。一度のやりとりで完璧を目指さなくて大丈夫です。


分野別プロンプトテンプレート

翻訳の用途に合わせて指示を工夫すると、より実用的な翻訳が得られます。4つの分野別テンプレートを紹介します。

ビジネス文書(メール・報告書・提案書)

海外取引先からのメール、パートナーが作成した提案書、英語で書かれた会議資料などに使えます。ビジネスの場で読んで違和感のない日本語に仕上げることを優先します。

添付の英語ビジネス文書を日本語に翻訳してください。

- 文体:ビジネス文書として自然な日本語(「〜します」「〜ございます」調)
- 固有名詞(会社名、製品名)はそのまま残してください
- 翻訳が難しい表現やイディオムは、意訳した上で原文を括弧内に添えてください

翻訳後、文書の主な内容を3点で箇条書きにまとめてください。

箇条書きのまとめを一緒に依頼するのがおすすめ

翻訳と同時に要点の整理を頼むことで、長い文書でも全体像をすぐ把握できます。上司への共有時や、自分がどこを精読すべきか判断するのにも役立ちます。


学術論文・研究レポート

医学論文、業界調査レポート、海外の学術誌——専門用語の密度が高く、直訳すると意味が通じにくい文書に使えます。

添付の英語論文を日本語に翻訳してください。

- 専門用語の扱い:初出時は「日本語訳(英語原文)」の形式で表記してください
  例:「機械学習(machine learning)」
- 略語が使われている場合は、初出時に正式名称を添えてください
- 著者名・雑誌名・固有名詞はそのまま残してください
- 翻訳後、以下の情報を整理してください:
  1. 研究の目的(2〜3文)
  2. 主な発見・結論(3〜5点)
  3. 今後の課題や限界として述べられていること

専門用語を英語と一緒に表記することで、社内での共有時も元の用語が引き継がれ、検索やリファレンスに便利です。


契約書・法的文書

海外取引先との契約書、利用規約、NDA(秘密保持契約)——法律文書は言葉の正確性が特に重要です。

添付の英語契約書を日本語に翻訳してください。

- 法的な意味が変わらないよう、できるだけ原文に忠実に訳してください
- 「shall」「shall not」「may」などの助動詞は、法的ニュアンスを保って訳してください
  (例:shall → 「〜しなければならない」、may → 「〜することができる」)
- 翻訳が一意に決まらない表現は、複数の解釈を示してください
- 翻訳後、特に注意が必要と思われる条項(義務、禁止事項、期限、違約金など)を
  リストアップしてください

法的文書の翻訳は、必ず専門家に確認してもらってください

契約書や法的文書の翻訳は、Claude を「下訳を作るツール」として使うのが安全です。内容の理解や論点の把握には役立ちますが、実際の契約に使う翻訳は必ず弁護士や翻訳の専門家にチェックしてもらいましょう。翻訳の誤りが重大なビジネスリスクにつながることがあります。


技術仕様書・マニュアル

ソフトウェアの仕様書、機器のマニュアル、API ドキュメント——IT や工学の専門用語が多い文書に使えます。

添付の英語技術文書を日本語に翻訳してください。

- IT・技術用語(API、SDK、クラウド、サーバーなど)はカタカナ表記を使ってください
- 手順を説明している箇所は、箇条書きや番号付きリストの構造をそのまま保持してください
- コードサンプルやコマンド例は翻訳せず、そのまま残してください
- 機能の名称(ボタン名、メニュー名など)は英語のまま括弧つきで残してください
  例:「設定(Settings)画面を開き、保存(Save)ボタンをクリックします」
- 翻訳が難しい技術用語があれば、その旨を注記してください

コード例やコマンドを翻訳してしまうと動作しなくなるため、「翻訳せずそのまま残す」と明示することがポイントです。


翻訳精度を上げるテクニック

基本の翻訳からさらに品質を高めたいときに使えるテクニックを紹介します。

専門用語リストを一緒に渡す

特定の訳語に統一したい専門用語がある場合は、用語集を一緒に渡します。これにより、文書全体で一貫した訳語が使われます。

添付の PDF を翻訳してください。以下の用語は必ず指定の訳語を使ってください。

用語リスト:
- liability → 賠償責任
- indemnification → 補償
- confidential information → 機密情報
- termination → 契約解除

リスト以外の専門用語は文脈に合わせて適切に翻訳してください。

社内で使っている用語集がある場合は、その内容をテキストでそのまま貼り付けることもできます。


翻訳のトーンを指定する

同じ内容でも、読み手や使用目的に合わせてトーンを変えることができます。

添付の文書を日本語に翻訳してください。

【使用目的】社内の一般社員向けに配布するため、専門知識がない読者にも
わかりやすい平易な表現を使ってください。カタカナ語は避け、日本語で説明を
加えながら訳してください。
添付の文書を日本語に翻訳してください。

【使用目的】経営会議での報告資料。簡潔で格調ある文体を使い、
余分な説明は省いて原文のニュアンスを忠実に保ってください。

難しい箇所に原文を併記させる

翻訳が難しい表現や、ニュアンスが失われる恐れがある部分を明示させることで、後で確認・修正しやすくなります。

翻訳が難しい箇所、意味が複数解釈できる箇所、または文化的背景が
必要な表現があれば、翻訳後の日本語の直後に原文を括弧で添えてください。

例:「本契約の解釈については(the interpretation of this agreement)、
    当事者間での誠実な協議を経るものとします。」

分量の目安

Claude が1回のやりとりで処理できる PDF には、100ページという上限があります。翻訳の場合、出力するテキスト量が多くなるため、実際には20〜30ページ程度を目安に分割して送ることをおすすめします。

つまづきポイント:長い PDF の翻訳が途中で止まる

長い文書を一度に翻訳しようとすると、Claude の応答が途中で切れることがあります。「続きを翻訳してください」と追加メッセージを送ることで続きを取得できますが、最初から章ごとに分けて渡す方がスムーズです。特定のセクションだけを翻訳させたい場合は「第3章(pages 12-18)だけ翻訳してください」と指定する方法もあります。


Google 翻訳・DeepL との使い分け

Claude が万能というわけではありません。それぞれのツールに得意・不得意があります。

ツール得意なこと向かないこと
Google 翻訳素早い翻訳、短文・日常表現、多言語対応専門的な文脈、長文の一貫性
DeepL高品質な自然な翻訳、欧州言語、短〜中程度の文書長文書の文脈維持、細かい翻訳スタイルの指定
Claude専門文書・長文の文脈理解、翻訳スタイルのカスタマイズ、要約との組み合わせ、用語統一非常に短い表現の即時翻訳、日本語以外への翻訳精度

Claude が特に力を発揮する場面:

  • 前後の文脈が重要な専門文書(契約書、論文、仕様書)
  • 「専門用語はカタカナで」「原文の構造を保って」など細かい指示をしたいとき
  • 翻訳と同時に「要点まとめ」「注意事項のリスト化」などをしたいとき
  • 用語を社内の表記に統一したいとき

DeepL や Google 翻訳が向いている場面:

  • ウェブページのざっくりした内容把握
  • メールの返信を素早く確認したいとき
  • 数語〜数行程度の短い翻訳

DeepL で下訳して Claude で磨く方法もある

DeepL で素早く翻訳してから、その結果を Claude に「もっと自然なビジネス日本語に整えて」と依頼するという組み合わせも使えます。目的に合わせて使い分けてみてください。


よくあるつまづきポイント

直訳すぎて意味がわかりにくい

「直訳ではなく自然な日本語を優先してください」と明示的に指示するか、「ビジネス日本語として自然に」「読者は日本語ネイティブです」のように想定読者を伝えましょう。また、一度翻訳を受け取ってから「もっと自然な日本語に言い換えてください」とフォローアップするのも効果的です。

文書の中で同じ用語が別の訳語になっている

長い文書を翻訳すると、"contract" が「契約」「契約書」「合意書」と混在するようなことがあります。先述の「専門用語リストを一緒に渡す」テクニックを使うか、翻訳後に「この文書で使われている主な用語の訳語を一覧にしてください」と依頼して確認しましょう。

一部のページが翻訳されていない

スキャン PDF(スキャンした紙をそのまま PDF 化したもの)は、画像の文字認識精度に限界があります。「読み取れなかった箇所があれば教えてください」と依頼しておくと、どこが欠けているか確認できます。文字のかすれや傾きが激しい場合は、可能であれば元の資料を再スキャンすることを検討してください。


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