Claude マニュアル

朝のタスク整理を自動化する

朝のルーティンを振り返ってみてください。

メールを開いて未読を確認する。カレンダーを開いて今日の予定を把握する。Slack を開いてメンションを確認する。タスク管理ツールを開いて昨日からの積み残しを確認する。——これを毎朝繰り返すだけで、気づけば30分以上が経っていることはありませんか。

情報が散在しているのが問題です。メール・カレンダー・チャットツール・タスクツールをそれぞれ別に確認し、頭の中で統合して「今日やること」を決める——この「頭の中での統合作業」こそ、最もエネルギーを消耗するステップです。

Claude はこの統合作業を代行できます。バラバラの情報を一度に渡せば、優先度付きの「今日のアクションリスト」を数分で作ってくれます。実践者の一例では、この作業が30分から3分に短縮されています。

本記事では、今日すぐ始められるコピペ活用から、ターミナル1コマンドで全自動化する上級テクニックまで、3段階で解説します。


Level 1: claude.ai でコピペ・ブリーフィング

必要なもの: ブラウザと claude.ai のアカウント(無料)

最初のステップはシンプルです。今日の情報をコピーして Claude に貼り付け、「今日の優先事項を教えて」と頼むだけです。

カレンダーをコピペして優先事項を整理する

Google カレンダーや Outlook の今日の予定をテキストでコピーし、以下のプロンプトに貼り付けます。

【今日の予定】
(カレンダーの内容をここに貼り付ける)

上記の予定をもとに、以下を整理してください:
1. 準備が必要な会議と、各会議で確認・決定すべきこと
2. 予定と予定の間にできる作業タスク(30分以内でできるもの)
3. 今日中に絶対終わらせるべき優先事項(上位3つ)

私の役割: (例:マーケティング部のマネージャー、3名のチームを担当)

これだけで、「14時の定例前に資料の最終確認を15分確保する」「午前中の空き時間で先週の企画書レビューを終わらせる」といった具体的な行動計画が出てきます。

未読メール一覧をコピペして優先度を付ける

受信トレイの未読メール一覧(差出人・件名・日時)をコピーし、以下のプロンプトに貼り付けます。

【今日の未読メール一覧】
(差出人、件名、受信日時をここに貼り付ける)

以下の基準で優先度を付けて整理してください:
- 高: 今日中に返信が必要なもの、承認・判断が必要なもの
- 中: 今週中に対応すればよいもの
- 低: 参考情報・FYI・Newsletter 等

各メールへの対応方針(1行)も一緒に書いてください。

「差出人と件名だけ」でも十分です。メール本文を貼り付ける必要はありません。

つまづきポイント:コピペしたテキストが崩れる

カレンダーやメールクライアントから貼り付けると、書式や記号が崩れることがあります。その場合は「差出人:〇〇、件名:〇〇、日時:〇〇」の形式で手入力するか、箇条書きでざっくり書き直しても構いません。Claude は完璧なフォーマットがなくても内容を読み取れます。

Projects に役割情報を登録しておく

毎回「私はマーケティング部のマネージャーで……」と説明するのは手間です。claude.ai の Projects 機能を使えば、自分の役割・担当業務・定例会議のスケジュールを一度登録しておけます。

Projects の「Project instructions」(プロジェクト指示)に以下のような情報を書いておきましょう。

【私の基本情報】
- 役割: マーケティング部 シニアマネージャー
- チーム規模: 5名
- 担当: デジタルマーケティング全般、外部パートナーとのコミュニケーション

【定例会議】
- 月曜 10時: 部門全体朝会(30分)
- 水曜 15時: 経営会議(1時間)
- 毎日 9時: チームスタンドアップ(15分)

【よく使うツール】
- Slack(社内コミュニケーション)
- Asana(タスク管理)
- Google Workspace(メール・カレンダー)

この情報があると、カレンダーをコピペするだけで「水曜の経営会議に向けて、月・火で資料を仕上げる必要がある」といった文脈を読んだ提案をしてくれるようになります。

毎朝同じプロンプトを使い回す

一度「自分に合ったブリーフィングプロンプト」ができたら、テキストファイルやメモアプリに保存しておきましょう。毎朝そのプロンプトをコピーして情報だけ差し替えれば、5分以内に今日のアクションリストが揃います。


Level 2: Claude Desktop のコネクタで自動収集

必要なもの: Claude Desktop(無料)+ Claude Pro(月額約3,000円)

Level 1 ではカレンダーやメールを手動でコピペしていましたが、Claude Desktop のコネクタ機能を使うと、Claude が直接 Gmail・Google Calendar にアクセスできるようになります。コードは一切不要です。

Gmail と Google Calendar のコネクタを設定する

Claude Desktop を起動し、設定画面から「Integrations」を開きます。Gmail と Google Calendar のコネクタを追加し、Google アカウントで認証してください。

会社のメールアカウントを使う場合は注意

個人の Google アカウントであればすぐに試せますが、会社のメールやカレンダーを接続する前に、社内の IT・セキュリティ部門に確認してください。外部サービスへの接続に関するポリシーは会社によって異なります。

一言でブリーフィングを生成する

コネクタの設定が完了したら、以下のように指示するだけです。

今日のブリーフィングを作ってください。

確認してほしいこと:
1. 今日のカレンダー予定(準備が必要なものに★を付ける)
2. 未読メールの優先度付きリスト(高・中・低)
3. 今日中に対応が必要なアクションをまとめたリスト

Claude が Gmail と Google Calendar を確認し、まとめて返答してくれます。毎朝このプロンプトをそのまま使い回せます。

空き時間にタスクを割り当てる

コネクタがあると、カレンダーの空き時間を把握した上でタスクを割り当てる提案もできます。

今日のカレンダーを確認して、空き時間にこのタスクリストを割り当ててください:
- 企画書レビュー(60分)
- 請求書の確認と承認(30分)
- 来週の週次報告の準備(45分)

優先度の高いものを午前中に入れてください。

「14時〜15時の空きに企画書レビュー、16時以降に来週の報告準備を入れると良さそうです」といった、実際のスケジュールに基づいた具体的な提案が返ってきます。

つまづきポイント:コネクタがうまく動かない

コネクタ設定直後は Google の認証に数分かかることがあります。「メールにアクセスできません」というエラーが出た場合は、Claude Desktop を再起動してから試してみてください。それでも解決しない場合は、Settings → Integrations から一度コネクタを削除して再設定すると解決することが多いです。


Level 3: 「おはよう」で全自動ブリーフィング

必要なもの: Claude Code + 各種 MCP サーバー + ターミナルの基本知識

ここからはエンジニアリングが必要なレベルの話です。「ターミナル(コマンドを入力する黒い画面)を操作したことがある」ことが前提になります。非エンジニアの方には難易度が高いですが、実現できることの規模が一段と大きくなります。

「おはよう」で5サービスを統合する(iret の事例)

アイレットの執行役員・後藤和貴氏は、Claude Code と MCP を組み合わせて、ターミナルに「おはよう」と入力するだけで5つのサービスの情報をまとめたブリーフィングが届く仕組みを構築しました(iret.media の記事 で詳しく紹介されています)。

統合されているサービスは Gmail・Google Calendar・Notion・Backlog・Slack です。毎朝 Claude が各サービスにアクセスして以下の情報を収集し、まとめて提示してくれます。

  • 未読メール(2営業日以上返信していないものを特別に検出)
  • 今日のカレンダー予定と準備事項
  • Slack のメンション・重要チャンネルの動き
  • タスク管理ツールの積み残しと新着タスク
  • ノートアプリの昨日の記録サマリー

そして重要なのが、これらを3段階の優先度(赤・黄・緑)で自動分類して表示する点です。「赤は今日中に対応必須」「黄は今週中」「緑は確認だけ」という基準が設定されているため、ブリーフィングを受け取ったら赤から順に対応するだけです。

結果として、朝のタスク整理にかかる時間が30分から約3分に短縮されたと報告されています。

この仕組みを実現するためには、以下が必要です。

  • Claude Code のインストール(ターミナルから使う Claude)
  • MCP サーバー の設定(各サービスへの接続役)
  • カスタムCLAUDE.md(朝のブリーフィングの指示を記述するファイル)

セットアップには数時間〜数日かかります

「おはよう」で全自動という完成形は魅力的ですが、そこに至るまでのセットアップは決して簡単ではありません。MCP サーバーの設定、各サービスの API 認証、動作確認と微調整——これらには最低でも半日、慣れていない方であれば数日かかります。最初から完全自動化を目指さず、まず Level 1 や Level 2 で効果を実感してから挑戦することをおすすめします。

GTD + Zettelkasten で /morning コマンド(クラスメソッドの事例)

クラスメソッドのきんじょー氏は、GTD(Getting Things Done)とZettelkasten(カード型ノート術)という2つの知識管理手法を Claude Code で統合したワークフローを公開しています(dev.classmethod.jp の記事)。

このワークフローでは、独自のコマンドを定義しています。

  • /morning — 朝のプランニング。「今日何をすべきか」を整理
  • /inbox — 未処理のメモや思考を整理する「インボックス処理」
  • /review — 週次レビュー。今週の振り返りと来週の準備

特に注目したいのは、この設計が単なる情報収集にとどまらず、「考える」から「判断する」へのシフトを目指している点です。朝の時間を「何をやるべきか悩む時間」から「Claude が整理した選択肢に対してYes/Noを判断する時間」に変えることで、認知負荷を大幅に下げています。

GTD や Zettelkasten に詳しくない方でも、「朝に /morning を実行して Claude に今日の計画を提案してもらい、自分で承認・修正する」という流れは参考になります。

MCP サーバーの構成例

Level 3 の自動ブリーフィングを実現するために必要な MCP サーバーの代表例を紹介します。自分の使っているサービスに合わせて選んでください。

用途MCP サーバー備考
Gmail・Calendar 連携Google Workspace MCPAnthropic 公式の連携先
Slack 連携Slack MCPチャンネル読み取り・メンション確認
GitHub 連携GitHub MCPAnthropic 公式提供
Notion 連携Notion MCPノート・データベース読み書き
タスク管理全般Todoist MCP / Linear MCP使用ツールに応じて選択

MCP の詳細なセットアップ方法は、MCP 連携・複数ツール統合(上級) で解説しています。


週次レビューの自動化

毎朝のブリーフィングと同じ考え方で、週次レビューも自動化できます。週末や金曜の終業前に以下のプロンプトを実行してみてください。

今週のレビューを手伝ってください。

【今週のカレンダー予定】
(今週参加した会議・予定の一覧を貼り付ける)

【完了したタスク】
(完了済みタスクの一覧を貼り付ける)

【積み残し・持ち越し】
(未完了タスクを貼り付ける)

上記をもとに:
1. 今週の主な成果と進捗(3行)
2. 来週に繰り越す重要タスク(優先度順)
3. 来週の最初に確認すべきこと
をまとめてください。

週報の素材になるだけでなく、月曜の朝を「先週の続きを思い出すところから始める」状態から脱却できます。

週次レビューは「振り返り」まで自動化しない

Claude に「今週の反省点を教えて」と聞くことはできますが、「なぜうまくいったか・いかなかったか」の省察(内省)は、自分で行う価値があります。Claude は事実の整理を担い、そこから何を学ぶかは人間が考える——この分担が、週次レビューを意味のある習慣にします。


実践者のワークフロー比較

iret(後藤氏)のアプローチ

5サービスを MCP で統合し、1コマンドで全情報を収集。優先度の3段階自動分類が特徴。最大の強みは「判断不要」で朝を始められる点。収集→分類→提示まで完全自動化されているため、受け取ったら赤から対応するだけ。課題は初期セットアップの複雑さと、各サービスの API 認証の維持管理。

クラスメソッド(きんじょー氏)のアプローチ

GTD + Zettelkasten という知識管理フレームワークと Claude Code を統合。コマンド体系(/morning, /inbox, /review)が整備されており、ルーティンとして定着しやすい。最大の強みはタスク管理だけでなくナレッジ管理も統合している点。課題は GTD の考え方を理解していないと効果が出にくいこと。

Chris Blattman 氏のアプローチ

「段階的な自律性」という設計思想が特徴的です。最初は「提案するだけ」から始め、信頼できると判断したものだけを「自動実行」にステップアップします。メール対応では「人間関係が重要なメールは人間が書く」という明確な線引きを設けています(claudeblattman.com の記事)。

この3者に共通しているのは、「Claude が整理し、人間が判断する」という役割分担を明確にしていることです。完全に丸投げするのではなく、Claude が下準備をして、人間が最終的な優先順位を決める——この設計が長期的に機能するワークフローの鍵です。


今日から始めるための最初の一歩

どのレベルから始めるかに迷ったら、以下を参考にしてください。

「今日から始める」なら Level 1 から。 今朝のカレンダーをコピーして「今日の優先事項を教えて」と聞くだけです。所要時間は5分以内。まずこれを試してみてください。

「もう少し自動化したい」なら Level 2 へ。 Claude Desktop のコネクタ設定は30分程度で完了します。一度設定すれば毎朝1文で指示するだけになります。

「本格的に自動化したい」なら Level 3 へ。 ただし、まず Level 1 と Level 2 で自分に合ったブリーフィングの形を見つけてからにすることを強くおすすめします。「何が欲しいか」が明確でないと、Level 3 のセットアップ中に迷子になります。

つまづきポイント:ブリーフィングの内容が毎日同じになってしまう

「今日の優先事項」を Claude に聞いても、毎日似たような答えが返ってきて役に立たないと感じる場合があります。原因はほとんどの場合、プロンプトに「今日の文脈」が入っていないことです。「昨日終わらなかったこと」「今週の最重要目標」「今月の締め切り」など、動的な情報を毎回渡すようにしましょう。Projects にテンプレートを置いておき、そこに今日の情報を書き足す形が運用しやすいです。


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